終売となった駅弁の記録 ~鉄宿別館~

既に販売が終了してしまった駅弁の記録を残します

贅沢かしわめし

贅沢かしわめし(博多駅)・・・かしわめしでも、南九州らしさが漂う

新宿・京王百貨店の地下食品売り場に、駅弁を常時販売しているスペースがあります。時折、そこを冷やかすのが好きで、見ているとつい、購入してしまいます。

今回販売していた駅弁のラインナップは、以下の写真の通りです。つい先日、ここで購入したばかりの岡山の瀬戸内産たこ飯三昧弁当が置いてありました。同じく以前に食べた鹿児島中央駅弁の黒豚角煮弁当も置いてありました。

その黒豚角煮弁当と同じ調製元の松栄軒が作る、贅沢かしわめしを見つけて、購入してきました。贅沢かしわめしはこの翌月に九州を訪問した際も見かけた駅弁です。と言ってもこの駅弁業者のお膝元の鹿児島では見かけず、博多駅に置いてありました。したがって、博多駅弁という扱いにします。




九州で鶏肉駅弁と言えばかしわめしで、とりわけ北九州の折尾や、佐賀県鳥栖駅のかしわめしが有名です。当サイトでは西都城駅のかしわめし博多駅のミニかしわ焼麦弁当鳥栖駅のかしわめし(復刻版)、人吉駅の山彦かしわめし、小倉駅の鶏めしかしわなどを、今まで賞味しています。

贅沢かしわめし


鹿児島の駅弁業者の松栄軒さんは、どうも感心しない味のお弁当を作ることが多いので、今回の購入はまさに期待と不安が入り混じっています。果たしてどんな感想になるのか、次の項をご覧ください。

購入データ
購入場所 京王百貨店新宿店の地下のデリカコーナーにて購入。
購入日時 2018年8月24日、午後5時ころに購入。
価格 926円(税抜き)
ラベル表示 新贅沢かしわめしのラベル表示

ラベル表示によると、「新・贅沢かしわめし弁当」となっています。という事は、以前のタイプのかしわめしが有ったという事で、そのリニューアル版だという事なのでしょうね。
製造 株式会社松栄軒
鹿児島県出水市上鯖渕532-5
電話:0996-62-0617
http://shoeiken.com/ekiben/

 

若干の文句はあるが、松栄軒の駅弁にしては普通に美味しかったです

東京に居ながらにして九州のかしわめしを食べられるのですから、実に良い時代がやってきたものです。封を開けてみると、まさしくそこは九州なのでした。

ご飯の上の錦糸卵が、とても色鮮やかですね。そして、鶏肉煮と鶏そぼろが「かしわめし」である事を主張しています。九州北部と中部辺りでは、かしわめしの鶏肉はほぐした状態で盛り付けられることが多いのに対して、南九州では鶏肉の塊として供されることが多いようです。

松栄軒は鹿児島の駅弁屋ですから、鶏肉はざく切り状態になっています。かしわめしには、刻み海苔が振りかけられているイメージがあるのに対して、松栄軒では、鶏そぼろを使って、色合いに変化を持たせていますね。

贅沢かしわめし


この贅沢かしわめしを開封して食べてみたところを、以下の動画に記録していますので、どうぞご覧ください。




写真でもう一度見てみます。ラベル表示によると、桜島鶏の照り焼きと書いてあります。特に焼きめなどは付いていないので、どう見ても鶏肉煮ですかね。食べた感じも、鶏肉煮にかなり近いと思います。

鶏肉の手前にごぼうのきんぴらが添えられています。松栄軒の駅弁には、よく入っています。ここでのきんぴらごぼうは脇役としての立場をわきまえており、問題ありません。

贅沢かしわめし


桜島鶏の照り焼きは、なんだか特別なブランド鶏のような気分になるものの、特段凄い飼育方法で育てられたものではないので、ごく普通の味わいです。むね肉だと思うのですが、特にパサついている事もなく、標準的な美味しさで食べる事が出来ます。

贅沢かしわめし


贅沢かしわめしで特徴的なのは、辛子明太子が入っている事ですね。その他に、厚焼き玉子と高菜漬けが添えられています。




この辛子明太子のボリューム感が良いですね。かしわめしと辛子明太子の組み合わせも全く違和感が無く、これを入れる事で通常のかしわめしがまさに「贅沢」な味わいに変化するというのは、新たな発見でした。




かしわめし本体に戻ります。鶏そぼろが入っているのも、松栄軒の贅沢かしわめしの特徴ですね。ただし、ラベル表示を見ると、この鶏そぼろは鶏肉の他に「粒状大豆たんぱく」という物質を添加しているようで、どうもこういうところが松栄軒のダメなところなのではないかと思ってしまいます。

松栄軒の駅弁は、常に「工業製品」を食っている感じが満載なのです。鶏そぼろを作るのに、粒状大豆たんぱくなどを入れてくる駅弁屋は他には無いと思いますので、製造工程を見直していただいて、もっと自然な風味の駅弁を食べさせてほしいなと切望します。

駅弁の外箱を見ると、「博多地どり」との表記があるので、鶏そぼろは博多地どりなのでしょうけれども、その品質をそのまま残す形で消費者に提供して頂きたいものです。




ライスは、鶏の出汁で炊き上げられた鶏めしです。桜島鶏の出汁を使ったのではなくて、既成の鶏の出汁の素のようなものを使ったのかもしれませんが、これはこれで素直に美味しかったです。ご飯の炊き加減もちょうど良く、これ単体でパクパクと食べられる美味しさでした。




贅沢かしわめしは普通に美味しかったのですが、例の如く松栄軒の駅弁に対して、やや苦言も呈してしまいました。今回の駅弁はまずまず美味しかったので、見かけたら九州のイメージを膨らませながら、食べてみて頂いても宜しいかと思います。

奈美悦子・雑穀美食弁当

奈美悦子・雑穀美食弁当

千葉駅の駅弁屋さん、万葉軒で潮干狩り弁当を買ったときに、偶然売られているのを発見したのが、奈美悦子・雑穀美食弁当です。残り1個だったので、ためらわずに購入しました。

本当は「小倉優子・焼き肉弁当」が欲しかったんですけど、販売終了してしまったみたいです。

奈美悦子雑穀美食弁当の外観

 

この駅弁、女性にはかなり人気となりそうな雰囲気でした。男性はちょっと物足りないと感じるかもしれませんね。総カロリー588キロカロリーで、相当にヘルシーです。

個人的には、かなり気に入りました。おかずが美味いんですよ。特に金目鯛の浜焼きは、これで白ご飯をガッツリ食いたいと思うほどでした。

奈美悦子雑穀美食弁当の中身

・雑穀米(奈美悦子ブレンド「健康で美人」) ・黒米 ・金目鯛浜焼き ・たかきび入り肉団子 ・きびとかぼちゃのイエローコロッケ ・たこ旨煮 ・うずら煮玉子 ・れんこんきんぴら ・紀州南高梅 ・しらす干し ・らっきょう ・季節の浅漬け ・つきこんにゃく炒り煮 ・オクラと山芋の梅肉和え ・野菜炊き合わせ(たけのこ、人参、里芋、シイタケ)


金目鯛以外のおかずも、一つ一つ手が込んでいるし、極めて良心的な弁当だと思いましたね。たいへん好ましい。これからの駅弁の良いモデルになってほしいです。

注文を付けるとしたら、ちょっと味付けがしょっぱすぎると思いました。僕、基本的に駅弁を残すことはないんですけど、梅干しなんてしょっぱすぎて、半分残しました。おかずも味付けが濃すぎると思います。

カロリーは良いですけど、塩分はおそらく、相当摂取することになりそうなので、この点は要注意ですね。

奈美悦子雑穀美食弁当の画像


(2015年5月18日、千葉駅で購入。1100円)

神奈川牛肉弁当

神奈川牛肉弁当(鎌倉・大船駅)・・・思ったよりあっさりとした味わい

妻と共に、鎌倉・江の島の旅を楽しんだ際に、大船駅の目と鼻の先にあるホテルメッツかまくら大船に宿泊しました。お昼は漁師料理のお店で美味しい生シラス丼を食べたので、夜は駅弁を食べようという事で、現地大船駅で売られている駅弁を購入して、部屋で頂きました。

今回買ったのは二種類で、本ページでご紹介する神奈川牛肉弁当、そしてもう1つは大船軒さんご自慢の押し寿司系駅弁から、押し寿し食べくらべをセレクトしました。

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 神奈川牛肉弁当は、現地でしか販売していないのか、東京都内で見かけた事が無かったので、ぜひ今回購入してみたいと思った駅弁です。外箱を見ると、以下のように記されていました。

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 やまゆり牛とは、全く聞いたことのないブランド牛です。どうやらJA神奈川が指導して育成している和牛で、2004年にブランド認定された牛のようです。ブランド牛が使われている駅弁は、全国的にも美味しいものばかりですから、期待が高まりました。

下記、その神奈川牛肉弁当を開封したところになります。動画でご覧になりたい方は、どうぞ。

 

購入データ
購入場所 大船駅構内のアトレ大船の駅弁店舗にて購入。
購入日時 2017年4月23日、午後4時半に購入。
価格 1100円(税込み)
ラベル表示
神奈川牛肉弁当のラベル表示

製造・販売 株式会社大船軒
神奈川県鎌倉市岡本2-3-3
0120-014541
http://www.ofunaken.co.jp/free/menu

 

 

割合あっさりとしているが、牛の旨みをきちんと感じられる一品

さて、神奈川県ご自慢のブランド牛の味は、どうだったのでしょうか? 開けてみると、見るからにおいしそうです。盛り付け方も上手で、これは美味しい駅弁だなと直感が来ます。

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 実際に味わってみると、牛の時雨煮だという事なのですが、時雨煮特有の「濃さ」がそんなにありません。という事は牛肉本来の味わいを強く感じる事になりますね。

比較的あっさりとした食べ口で、頂くことができると思います。これはオイスターソースを使って味付けした効果だと思います。醤油だけで時雨煮にしてしまうと、濃すぎて往生しかねません。

私が個人的に感心したのは、散らした万能ねぎです。牛肉系駅弁に万能ねぎは非常に合うと思っているのに、なぜかこの組み合わせで提供してくれる牛肉弁当は思い当たりません。ねぎのグリーンも見た目に良いですし、もっと広がっても良いような気がします。

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 副菜はつぼ漬けとひじき煮のみのシンプルさです。つぼ漬けはまあ別として、ひじき煮はきちんと美味しく、好感が持てました。

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 それと、牛肉と共に頂くことになるごぼう煮について。牛肉系駅弁にごぼうを入れるとなると、味の濃すぎるきんぴらごぼうをご飯の上一面に敷き詰めてしまうような、センスがイマイチな牛肉弁当も存在する中、牛肉煮とごぼう煮をきちんと分けてくれているのはグッドです。

しかもごぼう煮も、これ単体でちゃんと美味しい。出来合いのきんびらごぼう仕入れてきてただ入れただけというのではなくて、大船軒さんが神奈川牛肉弁当のためにしっかりと自社で調理されておられるのだろうなというのが感じられます。

更についでに言うと、胡麻を振る場所がごぼう煮の上だけというのも良いですね。下手をすると胡麻を牛肉の上にまで全体に振ってしまいがちだと思いますが、そんな事をやると牛肉の美味しさが半減してしまいますから、細かい事ですがこれもグッドです。

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 今回食べた神奈川牛肉弁当、全国的に見て飛びぬけて美味しいとか、そういうものではありません。しかし、神奈川ならではの牛肉駅弁として、一度は食べておきたいものだといえます。

食べ始めると、あっという間に平らげてしまいます。すなわちそれだけ、神奈川牛肉弁当が美味しいという証拠ですね。湘南の地でお肉系の駅弁を買いたいと思った時、同じ大船軒が調製する黒毛和牛弁当と共に、その候補となり得るでしょう。