萩乃屋の幕の内弁当
萩乃家の幕の内弁当・・・京阪三条駅、出町柳駅に出向いてでも買いたい京の味
※2020年1月追記:萩乃家の駅弁、ついに販売終了です。従って、本ページに記載の内容は過去の記録として見て頂ければと思います。
現在、京都駅では、JR西日本(在来線)が神戸の淡路屋、JR東海(新幹線)がJR東海パッセンジャーズの駅弁を、主に販売しています。
しかし、昔から京都の駅弁と言えば萩乃家さんと、相場が決まっていたのです。今ではJRの駅構内からすっかり姿を消してしまい、萩乃家の京都らしい駅弁を買う事は、不可能に近いです。
どうして姿を消すことになったのか、細かい事情までは分かりませんが、京都駅弁、懐かしの「萩乃家」を訪ねるのページを見ていただくと、何となく大人の事情があるように感じます。
京都にふらりと出かけたのでは、もう萩乃家さんの駅弁は手に入らない。そう思っていたところ、予想外の不意打ちを食らったかのように現れたのが、この幕の内弁当です。
購入したのは、京阪電車の出町柳駅のコンビニ型店舗です。萩乃家の名が掲載されたものが最後の一個となっていたら、これは問答無用で買うしかありません。これによってこの後、駅弁をぶら下げて京都観光をする羽目になりました・笑。
さて本ページでは、今でも予約なしに自由に購入できる場所の情報と共に、京都の萩乃家さんの幕の内弁当を食べた感想を、記したいと思います。以下の項目で掲載いたしますので、どうぞお読みください。
こんなに上品な味だったか!萩乃家の幕の内弁当!
まずは、幕の内弁当を食べた時の感想を記しましょうか。萩乃家さんの駅弁は、私が20代だった頃までに、2,3回食べたように記憶しています。何を食べたのかまでは覚えていないのですが、感想ははっきりしていて、「どうも味が薄くて食った気しないな」でした・苦笑。
しかし、人間の「残り時間」が半分を過ぎるくらいまで生きると、萩乃家さんの真価を認識できるようになります。・・・回りくどい言い方ですね。要は、萩乃家の美味しさをきちんと理解できるようになる、という意味になります。
今回は昔と違って、腹が減ってガツガツと一気に食べるのではなく、一品一品、品定めをするように、真剣に食べさせていただきました。全国各地の幕の内弁当を食べた経験を総動員して、萩乃家の価値を確かめていきました。
幕の内弁当の外観は、信じられないくらいに、レトロです。昭和時代の初期、あるいは大正時代の雰囲気まで感じます。一体、いつぐらいにデザインされたのでしょうか。下は、紐を取ったところ。
マニアだったら保存しておきたくなるような掛け紙を取ると、経木でできた駅弁箱です。今どきこれは、最高に嬉しいですね。お弁当と木が一体化したような香りが、辺りを漂いました。メニューは、次の通りです。
・ごはん ・焼き鮭 ・ミンチカツ ・筍煮 ・玉子焼き ・煮物(高野豆腐、里芋、ふき) ・かまぼこ ・金時豆 ・漬物
値段がたったの540円だからなのか、ガッツリとメインの料理が存在感を示すようなものではありませんでした。が、どうした事でしょう。それぞれの食材が互いに寄り添うように詰められていて、見ていると、なんとも言えない優しさを感じます。
それと、その辺の幕の内弁当の様に、無粋な「仕切り」が多用されることが無く、食材同士が支えあっている印象です。昔の幕の内は、こうだったと思います。簡単なようですが、職人の腕前が良くないと、ごちゃごちゃになってしまいますね。
どれにするか思案して、焼き鮭から食べる事にしました。箸で取る、というより引っ張り出すかのように、けっこう大きな鮭が姿を現しました。これ、姿が隠れるように上手に詰めたんですね。
鮭がこの写真のようにデーンと姿を見せたら、野暮な感じがしますよね。田舎料理みたいになって。京都の幕の内弁当は、「目でも食べる」かの如く、上品さや優雅さも考えて、絶妙の配置にしたのだと思います。
鮭と共に「ご飯のおかず」に最適そうなのが、ミンチカツです。これは普通に美味しいですが、なぜかくどさが少ない。私、ミンチカツを食べると少々胸やけ気味になるんですよ。だから、一口食べて、「いつもと違う」と感じました。まあこれは、加工食品だとは思いますけどね・苦笑。
筍煮です。筍の入った駅弁は沢山あります。すぐに思いつく例としては、崎陽軒のシウマイ弁当の、あの濃い目の筍煮でしょう。
しかし、萩乃家の幕の内弁当の筍煮は、それとは全く風味が違います。実に、あっさりしているのです。濃口醤油でごてっと煮ていない。だから、筍本来の風味や、僅かなえぐみがストレートに伝わってきて、飽きが来ません。見事だな、と感じました。
アップ写真は撮っていませんが、煮物も同様でした。特に煮物では、里芋煮に凄さを感じました。これも実に薄口な味付けであり、里芋にほんのり漂う大地の香りまで味わうことができて、大変ナチュラルな感じだった。
駅弁に煮物を入れるとなると、通常はメインディッシュの引き立て役になってしまいます。あくまで副菜であり、究極的には味なんてどうでもよし、とする風潮すらあると思います。
しかしながらここの幕の内弁当の煮物は、それ単体でも一品料理としてふるまえるほどの出来栄えです。まさに、料理人が自分の舌で味を確認しながら、京都の伝統を損なわないものを吟味しているのだと理解できます。
最後に、白ごはんです。俵ご飯に胡麻を乗せるのは、いかにも幕の内弁当ですね。そしてこのご飯も、実に美味いんだな。炊き加減としては、まさにこれ以上でもこれ以下でもダメ、と言った「中心部分」に位置する炊き加減でした。
おそらく経木が、余計な水分を吸ってくれて、最適な水分量になっているのでしょう。炊き加減の絶妙さでいうと、先ほども言及した横浜の崎陽軒も抜群ですが、崎陽軒はちょっと硬すぎるきらいもあるので、私は萩乃家のほうが好みでした。
書いてきた通り、この駅弁は、素材の味を究極まで引き立てる、まさに日本料理の伝統をきちんと引き継いだ駅弁だといえます。必要以上に今風の味に迎合することなく、浮いた存在になったとしても一本筋を通すところは、いかにも京都人の経営によるものだと感じますね。
以上のような感想を持った萩乃家の幕の内弁当、これが首都圏で売られていたら、2倍はするのではないかと思います。繰り返すも、これがたったの540円とは、一体どうやって商売が成り立つのか、心配でなりません。
それに、ここまで京都風の駅弁として味わい深い、特徴的な商品が京都駅で売られていないというのは、残念としか言いようがありません。
在来線の駅弁売り場には、なぜか京都と全く無関係な稚内駅の駅弁や鹿児島の駅弁がかなり売られています。地元の方も買いたいでしょうからそれを否定はしませんが、やはり京都ですから、正統派の味覚を保持した京都風の駅弁は「絶対に置いておかねばらなぬ」、と思いますね。
若者の胃袋にアピールできる駅弁かどうかは少々不安なところではありますが、これが京都の味だとなんとなく理解できると思うので、一度食べてみてください。もちろんお年を召した方には、高たんぱく低カロリー駅弁ですから、健康にもよろしいかと思います。
萩乃家の幕の内弁当の売り場の情報
以上のように、多くの人たちに召し上がって頂きたい、萩乃家の幕の内弁当。現在では、京阪電車の京都市内の2つの駅、出町柳駅と京阪三条駅でのみ、入手可能です。下記は京阪電車の、出町柳行き電車です。
こちらは、出町柳駅のコンビニ型売店のアンスリーです。京阪電車の2つの駅は、京都市内の地下鉄区間になります。その改札口を出てすぐの所に、アンスリーがあります。営業時間は、朝の6時半から深夜23時までやっているようです。
ただし、萩乃家の幕の内弁当は、コンビニと同じ時間にいつも置いてあるわけではなさそうです。出町柳駅のアンスリーでは、午後3時くらいに、以下のように残り1個となっていました。私が購入した後、店員さんが幕の内弁当の表示を片付けましたので、本日の販売は終了、という事なのでしょう。
こちらは、京阪三条駅の構内のアンスリーです。営業時間は出町柳駅と変わらず、6時半~23時になります。改札口のすぐ近くに、アンスリーはあります。
京阪三条駅のアンスリーの店内で売られている、萩乃家の幕の内弁当です。時間は、午前10時くらいです。いわゆるコンビニ弁当と並んで、レトロな幕の内弁当が異彩を放っています。
京阪電車のアンスリー店舗で、この幕の内弁当がいつごろから売られているのか不明ですが、京都駅で萩乃家の駅弁を入手できなくなった現在、極めて貴重な売り場となります。
コンビニの発想としては、この幕の内弁当は効率的な商品とは言い難いと思いますが、それでもこれを置いてくれる企業姿勢は、評価して良いと思います。願わくば、精進弁当や竹籠弁当も売って下さると嬉しいんだけどなあ( ^)o(^ )
効率と伝統のバランスを上手く取っていただいて、何とかなりませんかね、京阪電鉄さん!!
購入データ(今回、私が購入した時の記録です) | |
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購入場所 | 京阪三条駅の改札外にあるコンビニ「アンスリー」にて購入。 |
購入日時 | 2017年3月27日、午後3時くらいに購入。 |
価格 | 540円(税込み)・・・この値段、大分駅の幕の内弁当「かあちゃんのまくべんとう」のせい込み495円に次ぐ安さだと思います。凄い。 |
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製造・販売 | 株式会社萩乃家 京都市下京区東洞院七条下ル東塩小路町847 075-361-1301 ホームページはありません。 |