終売となった駅弁の記録 ~鉄宿別館~

既に販売が終了してしまった駅弁の記録を残します

秩父釜めし

秩父釜めし・・・肉類が一切ないのに、なぜか美味く食べられるという不思議

西武秩父駅に釜めしがある。以前から知ってはいたものの、駅弁のためだけにはるばる西武秩父まで行くのもけっこうめんどくさいです。どうしたもんかなと躊躇っていたところ、西武鉄道が予想外のレストラン列車、旅するレストラン・52席の至福の運行を開始、それに乗るために西武秩父駅に行く「用事」ができました。

 

下記が、秩父釜めしの売り場の様子ですが、秩父名物わらじかつ弁当の販売も行われており、パッと見ではすっかり秩父釜めしはマイナーな存在になっています。(この売り場の前にベンチがあるのですが、若い女性の2人連れは2人とも、わらじかつをを食べてました)

 

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さらに秩父釜めし、上記では「釜めしパック」という名称で売られているのに、下記の説明書きでは「山菜釜めし」となっていますし、「まるなかの釜めし」とも表現しています。駅円の掛け紙は「秩父釜めし」となっていて、もうかなり適当です・笑。(後ほどご覧いただく原材料名の記述の部分では、「釜めし弁当」と書いてあります)

 

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ただ、掛け紙に割り箸を置いて紐で縛っただけの昔ながらの駅弁のスタイル、今ではどんどん少なくなってきた印象なので、なんだかホッとするような外見でもあります。それに今どき515円って、半端ない安さです。

秩父釜めし・・・・これが思ったよりもおいしくてびっくりしたのだ

さて西武の52席の至福に乗車して、走るディナーを堪能するのですから、秩父釜めしをすぐに食べるわけにはまいりません。今回は前述のわらじかつ弁当と、さらにもう1つ見つけた岩魚すしも購入して、すべて自宅に持ち帰って翌日に食べました。

 

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け紙を取り除いて、プラスチック容器のふたを開けたところが、下記です。茶飯の上にワラビ主体の山菜、きんぴらごぼう、栗、こんにゃく、錦糸卵に紅ショウガなどが乗っかっています。

 

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しかし、ジーッと原材料名を見ていて、なんだか不思議な感じがしました。何かが違うと。原材料名と実際に中身を比べてみたところ、原材料名に記されている「梅」が入っておらず、その代わり「栗」が乗っかっています。微妙に異なります・笑。

 

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写真を見て頂くと分かる通り、色合い的には美味しそうとはとても思えません。しかも肉や魚などの「メインディッシュ」が1つもない駅弁が、今どき重宝されるとも思えません。「もしかしたら失敗作を買ったかな」と多少の後悔をしながら食べ始めたところ・・・・、

 

案外美味いじゃん!!!」が第一声でした。これはいったい、どういう仕組み何でしょうね? 間違いなく、美味しんですよ。不味いなんて感想は出てこない。驚きです。

 

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茶飯と一緒に山菜やらきんぴらごぼうなどを食べるわけですが、それらと茶飯との味わいのバランスが、実にきちんとしているのがその要因なのだと思います。

 

おかずの味がからすぎない、甘すぎない。ちょうど良いところにあるんですよ。決して100点はあげられないけど、おおよそ65点くらい差し上げてもよかろう。そこがこの秩父釜めしのような超絶に地味な駅弁を、今まで生き永らえさせているのだと思います。

 

決して人に「駅弁食べたよ!」と自慢できるようなものではありませんが、ひとりじっくりと、自分と対話するかのように味わっていただくと、非常によろしいかと思います。

 
(2016年5月21日、西武秩父駅で購入。515円)